ボクたち、ワタシたちの街って安全?

未来を「正しく恐れる」

いよいよ最後の授業です。

長かったー。

お疲れさま。最後だからもう少しがんばろうね。最後は視野(しや)を広げて、みんなが住んでいるこの日本という国の未来を考えてみよう。

何か大きなテーマだね。私たちに分かるかな。

確かに大きなテーマで、未来の話だからピンとこないかもしれないけど、みんなの将来にダイレクトにかかわってくることなんだよ。

重い話っぽい…。

前置きはこれくらい。単刀直入に言うと、みんなが日本という国でこれから生活していくなら、生きている間に東日本大震災クラスの地震を最低1回、もしかすると2回は経験する。

出典:第14回 中央防災会議 東南海・南海地震等に関する専門調査会

何それ。いきなり爆弾(ばくだん)落としてきたね。

残念だけど、地震の周期性の問題で、今そういう時期なんだ。

やっぱり日本脱出するしかないか…。

確かに、それも将来の選択肢(せんたくし)の一つとして入れておいてもいいかもしれないわね。でも大多数の人は日本でそのまま生活していくと思う。だから自分の将来を考える上で、日本社会がどうなっていくかを知っておく必要があるの。

あまり希望のある未来像は聞いたことがない。

そうだね。最近、『未来の年表』(講談社現代新書)というショッキングな本が出たんだけど、この表紙だけ見ても結構大変そうなことが分かるよね。

  • 2020年 女性の半数が50歳超え。
  • 2024年 全国民の3人に1人が65歳以上
  • 2027年 輸血用血液が不足
  • 2033年 3戸に1戸が空き家に
  • 2039年 火葬場が不足
  • 2040年 自治体の半数が消滅
  • 2042年 高齢者がピークを迎える

何これ。もう見たくない…。

私も最近この本読んだけど、読めば読むほどブルーになっていって、結構きつかった。

ブルーにさせてごめんね。(笑)でも、ここで考えて欲しいのは、このように少子高齢(こうれい)化が進み、人口が減った日本で大きな災害が来たらどうなるのかということなんだ。

その時は私たちも大人になっているわけよね。

そう。その時に災害対応や復興の担い手になるのは、まさに私たちの世代。その時に、災害について全く考えたこともなく、準備もしていなかったらどうなると思う? さっき紹介した本の結びにあった言葉を紹介して、終わりたいと思います。

中学・高校生や大学生はいずれ社会の中心で活躍(かつやく)する大人となる。早く真実の情報に接すれば、そのぶん、日本の行く末や、自分たちを待ち受ける社会にどう向き合えばよいのか、自分たちの頭を使って考え始めることができる。

 

高校生のみなさんへ

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高校生向け

未来の年表をさらに詳しく紹介します(もう見たくないかもしれませんが…)。かなりシビアな「未来予想図」です。西暦の下二桁を年齢と考えれば、自分の人生とよりリンクさせて考えることができるかもしれませんね。

2042年
  • 高齢者が3935万2000人とピークを迎える
2045年
  • 東京都民の3人に1人が高齢者となる
2050年
  • 世界人口が97億3000万人となり、日本も世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
  • 現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」となる
  • 団塊ジュニア世代がすべて75歳以上となり、社会保障制度の破たん懸念が強まる
2053年
  • 総人口が9924万人となり、1億人を割り込む
2054年
  • 75歳以上人口が2449万人でピークを迎える
2055年
  • 4人に1人が75歳以上となる
2056年
  • 生産年齢人口が4983万6000人となり、5000万人を割り込む
2059年
  • 5人に1人が80歳以上となる
2065年
  • 総人口が8807万7000にんで、2.5人に1人が高齢者となる
2076年
  • 年間出生数が50万人を割り込む
2115年
  • 総人口が5055万5000人まで減る

団塊世代
第二次大戦直後数年間のベビー-ブーム時に生まれた世代。普通、1947年から1949年にかけての生まれをいう。

団塊ジュニア
団塊の世代の子どもにあたる世代。1971年から1974年ごろの第二次ベビーブーム時代に生まれた。

生産年齢人口
人口統計で、生産活動の中心となる15歳以上65歳未満の人口のこと。

いかがでしょう。
アジアの国々はこれからどんどん高齢社会に突入していきます。その意味では日本が高齢社会に対応した社会の仕組みやサービスを開発できれば、他の国のモデルになり得るといえます。災害や様々な社会的課題が多い「課題先進国」だからこそ、「課題解決先進国」となる可能性があるのです。

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