命が助かったんだけど…

隣のおばあちゃん大丈夫かな?

災害が起きて、自分がケガをせずに、自宅や避難(ひなん)所に行くことができたとしたら、ちょっと周りを見てみましょう。そこに助けを求めている人はいないでしょうか?災害が起きた時に、他の人のサポートを必要とする人のことを「災害時要援護(えんご)者」といいます。具体的に、どんな人たちが支援(しえん)を必要としていると思いますか?

お年寄りや障害(しょうがい)を持った人たちとか?

そうだね。ただ「障害(しょうがい)を持っている」と一言で言っても、目が不自由な方、耳が不自由な方、そして身体が不自由な方によって、必要な対応は変わってきます。あと、障害(しょうがい)はなかったとしても、日本に住んでている外国人の人や、海外から旅行で来られている人も、何が起きているか・どうしたらいいのかが分からずに困(こま)ってしまう場合が多いです。

具体的にはどうしたらいいのかな。そもそも自分なんかが何かできるのか不安。

そうですよね。自分だけで何とかしようとするのではなく、できるだけ周りの大人も巻き込みましょう。具体的な対応例としては、以下のような感じですね。

高齢(こうれい)者の方へ

  • 急を要するときはおぶったり担架で安全な場所へ。

目が不自由な方へ

  • 杖(つえ)を持った方の手はとらず、ひじの辺りにゆっくりとふれて歩く。
  • 方向や目の前の位置などは、時計の文字盤(ばん)の位置を想定して伝える。

耳が不自由な方へ

  • 筆談は要点をわかりやすく。
  • 手のひらに指先で字を書く方法でもよい。
  • 話をするときは、顔をまっすぐ向け、口を大きく動かしゆっくりと話す。

肢体が不自由な方へ

  • 気軽に声をかけ、一人で援助(えんじょ)が困難(こんなん)なときは、近くの人に協力を求める。
  • 車いすは、階段(かいだん)では3、4人で援助(えんじょ)する。上がるときは前向きに、下がるときは後ろ向きに。

外国人・旅行者の方へ

  • 身振(ぶ)り、手振(ぶ)りで話しかけ、孤立(こりつ)させない。

 

東京都の防災ホームページ参照

でも、自分はマンションに住んでいて、近所の人とかほとんど話したことないんだけど。顔と名前もはっきり分からないのに、そんなことできるのかな?

普段していないと、いざという時も難しいのは間違いないです。ですから、普段からなるべく近所にどんな人が住んでいるのかということにちょっとでも関心持って、挨拶くらいはするようにできたらいいですね。でも、考えて欲しいのは、災害が起きたら、まだ若くて、身体も不自由でなくて、日本語も分かる皆さんも、ケガをしたり、家屋で生き埋めになったりして、「要援護者」になる可能性があるということです。

あ、そうか!

詳しくは、別のページで説明しますけど、具体的に何かできなくても、近所の人の安否確認(あんぴかくにん)だけでもすることが大切です。

高校生のみなさんへ

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高校生向け

75歳以上の高齢者数の急速な増加

(資料)総務省統計局「国税調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」出生中位(死亡中位)推計
2010年の値は総務省統計局「平成22年国勢調査による基準人口」(国籍・年齢「不詳人口」を按分補正した人口)による。

災害時要援護者の中でも、圧倒的に数が多いのが高齢者(65歳以上の人)です。2025年には、戦後のベビーブーム(第二次大戦後、子どもの誕生が爆発的に増えた時期のこと)で生まれた「団塊の世代」と言われる人たちが、75歳以上の「後期高齢者」となります。地方では高齢者が人口の半分を超える「限界集落」と言われるところも珍しくありません。

限界集落とは?

過疎化・高齢化が進展していく中で、経済的・社会的な共同生活の維持が難しくなり、社会単位としての存続が危ぶまれている集落。中山間地域や山村地域、離島などの社会経済的条件に恵まれない地域に集中している。

高齢者の他にも、地域では支援やケアを必要としている人がたくさんいます。
例えば、介護と育児に同時に直面する「ダブルケア」世帯や、精神疾患患者や、がん患者、難病患者、アルコール依存症患者、引きこもり…などです。このように福祉分野に加え、保健医療や就労などの分野にまたがって支援を必要とする方も増えてきています。

そのような支援をすべて税金(公的サービス)で担うのは難しいため、地域社会の助け合い(相互扶助)が必要であるということが最近、特に言われるようになってきました。

災害は最も脆弱な人たちを直撃します。災害が起きる前に、自分の身の回りにどのような支援を必要としている人がいるのか調べてみてはどうでしょうか。

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