命が助かったんだけど…

倒れている人がいる!

私たち民間人でもおこなえる「一時救命措置(そち)」(通称BLS:Basic Life Support)について学びましょう。救急隊や医師に引き継ぐまでの間に行う応急手当だから、誰もが身につけておかなければならないことでもあるんです。

は~い!

人は心臓(しんぞう)が停止してから約8分半で、ほぼすべての方が亡くなってしまうと言われています。ですが、119番通報をしてから救急車が到着するまでの全国平均時間も約8分半なのです。私たちが倒れている人を見つけたとき、その人が助かる可能性を少しでも高くするために、「私たちにできること」がなにかを考えていきましょう。

まず安全な場所に運ぶ

例えば車が走っている道路に人が倒れていたら、近づく前に車が来ないか確認し、倒れている人を安全な場所に運ぶ必要があります。

倒れている人を見つけたら、まずは安全な場所に運べばいいんだね!

その時に頭や首は体の大切な場所なので、できるだけ揺(ゆ)らさないことも重要です。また、できるだけ周囲の大人たちに協力してもらうように呼びかけることも重要です。

毛布を使って担架(たんか)にすることができるよ

大量に血が出ている場合は圧迫して止血

安全な場所に運んだ後は、たくさん血が出ていないかを確認(かくにん)します。

たくさん血が出ていたら、どうしたらいいの?

できるだけ清潔な布で、血が出ている場所を強く押さえることで血がでるのを抑えることができます。

清潔な布で血が出ているところを圧迫(あっぱく)しよう

意識がなければ、119番通報とAED

倒れている人に「大丈夫ですか?」と呼びかけたり、肩をたたいたり、意識があるか、体が動くかどうかを確認(かくにん)します。

呼びかけに反応がないときはどうしたらいいの?

周りの人に助けを求め、119番通報とAEDを持ってくることをお願いします。

倒(たお)れている人を発見したら、どうしたらいいんだろう

普段(ふだん)通りの呼吸がなければ心臓(しんぞう)マッサージ(胸骨圧迫 きょうこつあっぱく)

救急車とAEDを待っている間に、普段(ふだん)通りの呼吸をしているか確認します。

呼吸をしていなかったら心臓マッサージだね!

そうですね。心臓(しんぞう)マッサージは大人の人でも長く続けることが難しいので、周囲の人に協力してもらい、救急車が来るまで交代しながら続けましょう。

心臓(しんぞう)マッサージと人工呼吸(こきゅう)のやり方だよ

ただ、いきなりこのようなことをするのは難しいとみんなは感じるかもしれません。ですから、まずは応急救命の講習を受けてみましょう。応急救命講習は消防や日本赤十字社で受けることができます。

はい!

高校生のみなさんへ

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高校生向け

応急救命講習で学ぶ内容のさわりの部分を紹介します。

1.一次救命処置(BLS)

BLSはその場に居合わせた人が、救急隊や医師に引継ぐまでの間に行う応急手当ことで、応急救命の基礎にあたります。
 専門的な器具や、薬品などを使う必要がないので、正しい知識と適切な処置の仕方さえ知っていれば、誰でも行うことができます。
BLS大きく3つの段階に分かれます。

(1)緊急通報とAEDの要請
倒れている人を発見し、意識がなければ緊急通報(119番通報)をし、救急車を要請します。また、AEDが必要となることが予想されるため、AEDを持ってきてもらうように要請します。これを行うのは、周囲の方に協力してもらいましょう。

(2)呼吸の確認
次に、倒れている人の呼吸を確認します。普段通りに呼吸するときに胸が上下しているか、口や鼻かから呼吸する「すー、は-」というような呼吸音するか、体の動きはあるかを確認します。これらを確認して「普段通りの呼吸」がないと判断される場合には、直ちに心肺蘇生法を開始します。

(3)心肺蘇生法
心肺蘇生法は胸骨圧迫(心臓マッサージ)と、人工呼吸を合わせて行うものです。現在では、人工呼吸は高度な技術や経験が必要なこと、感染症の予防などの観点から、人工呼吸は無理に行う必要がないとされています。そのため、ここでは胸骨圧迫に関することのみ触れます。

【胸骨圧迫の方法】
①圧迫する位置:倒れている人の胸の中心(胸骨という硬い骨があります)を圧迫します
②圧迫する強さ:胸が約5センチ沈む強さで圧迫します
③圧迫する早さ:1分間に100~120回のテンポで圧迫します

胸骨圧迫をして、傷病者が嫌がるように体を動かしたり、声を発したりしたら、胸骨圧迫を中断しましょう。

【AEDの使用方法】
AEDを要請し、到着したら、直ちに電源を入れます。機種によってはAEDのケースを開けることで電源が入る機種もあります。
AEDの電源を入れた後は、自動音声ガイダンスに従い、操作を行います。下記に一般的な手順と、注意点を記載しておきます。

【AEDの操作手順】
①AEDの電源を入れます
②電極パッド2枚を、パッドに記載されている位置に貼り付けます
※貼り付けるために、必要に応じて服を脱がせる(ハサミなどで切る)
※パッドを貼る位置は、右胸(右鎖骨下)と左胸の下(左のわきのしたから5~8センチ)の位置に貼り付けます。
③AEDが心電図を解析しますので、倒れている人に触れないようにします。
④ショックが必要な場合、倒れている人に誰も触れていないことを確認し、通電ボタンを押しま す。
   
【AED使用時の注意点】
①パッドを貼る際には下記の点を確認します。
水濡れがないか:パッドを貼る位置が濡れている場合、タオルなどでふき取ります。
②張り薬がないか
湿布などの張り薬がしてある場合は、剥がします。
③ペースメーカーを装着しているか
ペースメーカーを装着している人は、胸がこぶのように膨らんでいます。こぶが確認できる場合は、パッドがこぶに触れないように2,3センチは離してパッドを貼ります。
④心電図の解析時や通電時は、倒れている人に触れないようにします。
触れてしまうと、解析が適切に行われなかったり、感電したりする場合があります。
⑤AED使用時は、指示がない限りは胸骨圧迫を継続し、胸骨圧迫の中段時間ができるだけ短く済むようにします。

2.搬送法

傷病者や倒れている人を発見した場合、手当をする必要がありますが、手当をする前に、その場所は危険がないか、手当をするのに適切かどうかを確認し、必要に応じて安全な場所(手当するのに適切な場所)に搬送する必要があります。

【危険な場所の一例】
・車道・・・車の通行があるため、歩道や車の往来がないスペースに搬送しましょう。
・半壊家屋の中・・・倒壊の可能性があるため、屋外の広いスペースに搬送しましょう。
・火災現場・・・延焼の可能性があるため、火の手の届かない場所に搬送しましょう

【不適切な場所の一例】
・階段・・・平らな広い場所に搬送しましょう。
・お風呂場・・・水濡れがない脱衣所など広い場所に搬送しましょう。

また、搬送をする際には、下記のポイントに気を付けましょう。
傷病者を救おうとして、救助者が交通事故に遭ってしまう(二次災害といいます)などしては、元も子もありません。そのため、傷病者を発見した際には、むやみに近づかず、まずは周囲の状況を把握し、安全を確認してから近づくようにしましょう。また、搬送を開始する際にも、周囲の状況確認を怠らないようにしましょう。

周囲に人がいる場合、協力を呼び掛けて、複数人で搬送できるようにしましょう。複数人で搬送することにより、一人ひとりの負担が減り、より安全に確実に搬送することが可能です。但し、複数人で搬送する際には、傷病者を持ち上げる際や、搬送を開始する際には必ずお互いに声掛けをし、一緒に搬送する協力者が、搬送する準備が整っていることを確認しましょう。

3.止血法

傷病者が出血している場合は止血を行う必要があります。特に大量出血をしている場合は、意識の有無にかかわらず、直ちに止血をしましょう。成人であれば4リットルほどの血液が体内にあると言われており、このうち3分の1から半分程度が失われると生命が危険にさらされ、死亡リスクが高まると言われています。
 また、大量出血後、30分経過すると死亡率は50%と言われ、1時間経過すると死亡率は90%ほどになると言われています。

【止血をする際に必要な物】
・滅菌ガーゼ(無ければ清潔な布やタオル等)
・包帯(三角巾や巻軸帯、タオル等の出血箇所の部位を巻けるもの)
・ビニール(ゴム)手袋等(ビニール袋で手を覆うことで代用可)

ガーゼや清潔な布だけでも止血することは可能ですが、包帯やそれに代わるものを併用することで、止血のために行う直接圧迫の状態を維持することができます。また、傷病者が何らかの感染症を患っている場合も考えられるため、血液に触れないようにするためにビニール手袋などをし、直接血液に触れないようにする必要があります。

【直接圧迫止血法】
直接圧迫止血法は一番シンプルで、だれにでもできる止血法です。滅菌ガーゼなどで出欠部位に当て、手で強く圧迫(押さえる)ことで、止血する方法です。また、滅菌ガーゼの上から包帯などを強く巻くことで、手で圧迫せずに直接圧迫止血法を維持することが可能です。

■本結び(ほんむすび)といわれる包帯の結び方だよ

■額の止血方法だよ

【RICEの法則】
RICEの法則とは、怪我をした際に行う応急処置の基本です。
Rは「Rest(安静)」、Iは「Icing(冷却)」、Cは「Compression(圧迫)」、Eは「Elevation(挙上)」で、これらの頭文字をとったものです。このRICEの法則での処置は、出血時のみでなく、捻挫などの応急処置としても有効です。ただし、あくまでも応急処置のため、必要に応じて医療機関で受診するようにしましょう。

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