いざという時、何をしたらいいの?

長くて強い地震だ!

今が地震の活動期って話をしたけど、プレートテクトニクスって聞いたことある?

ない!

ある!

じゃあ、簡単(かんい)に説明するね。地球の表面は何枚かの堅(かた)い岩盤(がんばん)で覆(おお)われていて、その岩盤(がんばん)がゆっくりゆっくり動いているんだ。その岩盤(がんばん)はひきあがっているところそして沈(しず)み込(こ)んでいるところ。

え~っ!地面が動いているってこと?

そうだね、長い年月をかけて少しずつ少しずつね。普段(ふだん)はもちろん動いていることなんて感じないよ。
でも、そうやって長い年月かけて岩盤(がんばん)が動いて、大きなエネルギー、ひずみがたまって突然(とつぜん)はじけることがあるんだ。それが地震なんだよ。しかも、日本の周辺は4枚の岩盤(がんばん)が押し合いへしあいしているから地震がとても多い国土なんだ。

じゃぁ、そのひずみがたくさんたまってきているから、今が地震の活動期に入ったっていわれているんだ。

大きな地震はある一定期間でたまったエネルギーが放出されて、引き起こしているのだけど、その前後の期間に少しずつエネルギーが放出されて、大地震が頻発(ひんぱつ)するようになるんだ。今、南海トラフという場所で巨大地震がまもなく起きるだろうと予測されていて、その前後である今の時代は大地震が頻発(ひんぱつ)する時期なんだ。首都直下型地震なんて言われている地震もその一つと考えられているんだ。

首都って東京でしょ。東京じゃない人は安心だね。

実はそうではないんだ。地震には大きく2種類の形があります。
「プレート間地震」と呼ばれる、南海トラフや東日本大震災といった巨大地震を引き起こす非常に大きな地震エネルギーをもつ地震。このタイプの地震は岩盤(がんばん)の境で起きるため、大体の場所が予測できるんだ。もう一つは「プレート内地震」と呼ばれる地震で、直下型とか言われているんだけど、これは岩盤(がんばん)の中にある断層(だんそう)という地面の裂(さ)け目がずれて起きるんだ。

この断層(だんそう)というのが、今見つかっているものもあれば、地震が起きて初めてそこに断層があったことが分かることもあるんだ。つまり

どこでおきるかわからないってことね。

え~っ!

その通り。だから、地震に対する備えは日本中どこで生活していても必要ってことだね。
では、地震による被害(ひがい)にはどういったものがあるか学んでいこう。

地震による被害:建物倒壊(とうかい)、家具の転倒

地震被害(ひがい)と言うとどんなイメージがある?

家が壊れちゃう~。

そうだね、やっぱり一番は家が壊(こわ)れる家屋の倒壊(とうかい)や、家具の転倒(てんとう)だね。過去の地震災害でもこの家屋の倒壊(とうかい)による犠牲(ぎせい)者が一番多いんだ。だから、地震災害に対する備えで最も大切なのが、家屋の耐震診断(たいしんしんだん)、耐震補強(たいしんほきょう)。そして、家具の転倒防止なんだ。

古い木造家屋の場合、多くの行政で耐震診断(たいしんしんだん)をしてくれたり、耐震補強(たいしんほきょう)工事の補助(ほじょ)をしてくれる制度があるから、一度窓口に相談してみよう。家屋の転倒(てんとう)防止にもいろいろな方法があるよ。まずは一番無防備になる寝室や、いちばん長く過ごす台所やリビングといったところの転倒(てんとう)防止やガラスの飛散防止といった備えから始めよう。

地震による被害(ひがい):液状化現象

次に、「液状化現象」って聞いたことある?

ない!

ある!

これは住んでいるところによっては起きる現象なんだけど、埋(う)め立て地や昔、砂地(すなち)だったような地盤(じばん)が緩(ゆる)い場所に地震の揺(ゆ)れが作用して、土の中の水分が上昇して…。

難しくてわからないよ!

では、実験映像(えいぞう)を見てみましょう。

実験を通して液状化を見てみた

色つきのピンが構造物を表しているます。ペットボトルをひっくり返すことで、ピンが砂の中に埋(う)まった状態になるの。

水分を含んだゆるい地盤ってことね。

そういうことだね。そこに地震の揺(ゆ)れが加わると、水分が上昇して地盤(じばん)が下がる。構造物を表す色つきのピンが、水分と一緒(いっしょ)に地表に上がってきてしまう。という現象をわかりやすくみられる実験なんだ。

実際の地震のときには、地面がゆるくなって建物が倒(たお)れたり、マンホールが飛び出してきたりする。そんな写真や映像見たことあるな。こんなことが起きたら、まちや道路はめちゃめちゃだぁ。

地震による被害:土砂崩れ

地盤(じばん)が緩(ゆる)くなるといったら、土砂崩(どしゃくず)れとかも起きるんじゃない?

その通り、山間部では「山崩(くず)れ」といってもいいくらいの崩落(ほうらく)という大きな土砂崩(どしゃくず)れが起きることもあるんだ。崩(くず)れた土砂(どしゃ)が川をせき止めてダムみたいに水がたまり、それが崩れて勢いよく泥(どろ)水が地域を襲(おそ)うなんていう二次災害を引き起こしたりもするんだ。

地震による被害:津波

東日本大震災で実際に撮影(さつえい)された映像(えいぞう)だよ

釜石海上保安部撮影 釜石港を襲う津波映像
出典;Sankei News
※気分が悪くなったらすぐに見るのをやめてください。

とても逃げられないよ。

 怖(こわ)いね。

だから、海の近くにいるときに大きな揺(ゆ)れを感じたら、とにかく高い所に逃げる。津波(つなみ)はやってくるのに、数分から数十分の時間がある。この短い時間で命を守る行動をとらないといけないんだ。

はい。

地震による被害:火災

最後に「火事」。地震災害の時には、必ず火事に注意って聞いたことあるでしょ?
火を出さないことも大事だけど、家屋の倒壊(とうかい)や家具の転倒(てんとう)で室内がぐちゃぐちゃになると、一度火が起きたらなかなか消せずに、火災延焼(えんしょう)といって、周りの家も焼けてしまい大きな被害(ひがい)になります。

日本は木造家屋が多いからね。

東日本大震災では津波(つなみ)だけでなく火災も大変だったんだよ

津波による冠水と大規模な火災
出典:Sankei News
※気分が悪くなったらすぐに見るのをやめてください。

そうだね。あと、「通電火災」といって、地震の後停電になり、その後電気が急に復旧したときに、家の中の電化製品のスイッチが入り発火する現象をいうんだけど、熱を発する電気製品に、燃えやすいものがかぶさっていると大きな火事を引き起こす原因になるんだ。

気をつけよ~と。

高校生のみなさんへ

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高校生向け

■プレートテクトニクス

私たちの住む地球の表面は、プレートと呼ばれる7枚の大きな岩盤といくつかの小さな岩盤で構成され、このプレートが対流するマントルに乗って動いています。プレートの境界線では、離れようとする動き、沈みこもうとする動き、衝突する動き、すれ違う動きといったエネルギーが生まれ、山脈の形成や火山、地震、断層といった地殻変動が発生します。

■地震の周期性と確率

地震は過去の歴史をさかのぼることである程度の周期性があると考えられています。
現在の日本は地震の活動期に入ったと考えられています。そのため、多くの巨大地震が発生する可能性も高まり確率が高い数値を表しています。(図:中央防災会議資料)

平成20年版防災白書より

平成22年版防災白書より

ちなみに、世界で起こる地震の約1割、M6以上の地震の2割は日本周辺で起こっています。

■地震の形と断層について

・プレート間地震
プレートとプレートの間では、それぞれのプレートの動く向きが違うので、摩擦が生じ、地震が発生します。 2011年に起きた東日本大震災はこのプレート間地震です。プレートがひずみに耐えられなくなると、プレートとプレートの境界の部分の岩石は壊れます。 すると、摩擦は一気に小さくなり、大陸プレートは跳ね上がるようにして元に戻ります。 このときに、プレートに蓄えられていたひずみのエネルギーが、一瞬のうちに地震として放出されます。

・プレート内地震(プレート内直下型地震)
地震は、プレートとプレートとの境界面だけではなく、プレート内でも発生します。身近なところでは、1995年の阪神大震災、2004年に新潟を襲った中越地震、2016年の熊本地震など、近年日本で頻発しているのはプレート内で発生した地震です。 プレート内一帯の岩盤は動き続けているので、活断層(約200万年前の第四期から現在までの間に動いたとみなされ、将来も活動することが推定される断層のことをいいます)の付近の岩盤にはひずみがたまります。そして、それが限界に達すると、両側の岩盤は急激にずれ、地震を起こします。

■地震の被害

①揺れ
地震の時に最も大きな被害を引き起こすのが家屋への被害です。(「家の耐震性をチェックしよう」参照)
建物は無事でも、または耐震性の高いマンションなど高層建物は室内の安全確保も重要です。(「家具の転倒を防止しよう」参照)

・揺れ方ハザードマップ
耐震基準を満たした建物であっても、建築された地盤によっては揺れ方に大きな違いが生じます。海や池などを埋め立てた土地、もともと川が流れていたり沢や谷だった場所など、地盤が弱い場所は揺れ方が大きくなったり液状化現象による被害が考えられます。しっかりとした地質調査でなければ詳しく知ることはできませんが、古地図などで昔の地形を調べたり、今の町名に「池」「谷」「沢」といった水にちなんだ地名の場所は埋め立てたり近くに暗渠があったりする場合があり、地盤の強さを測る基準になります。住んでいる地域の行政機関で「揺れ方ハザードマップ」を発行している場合もあります。ぜひ参考にしてください。

世田谷区「揺れ方ハザードマップ」

②液状化
液状化とは、地震によって地盤が一時的に液体のようになってしまう現象です。埋立地や河口など水分をたくさん含んだ砂質の地盤で発生する現象です。地震が発生する前、このような地盤は、すき間に水をたくさん含みながらも砂粒同士が接触していることによって上に建っている建築物を支えています。
しかし、地震が発生して地盤が強い振動を受けると、今まで互いに接して支え合っていた砂粒は崩れ、固まりになろうとします。すると、固まろうとする砂粒の間に含まれている水には、周りの砂から力が加えられ、水圧が上昇します。

そして、この水圧(間隙水圧)が、上に乗っている土(たくさんの砂粒や水)の圧力と等しくなると、間にある砂粒にかかる力がつり合い、力が加えられていないのと同じような状態になります。すると、砂粒は浮き上がり、液体と同じように自由に動くのです。このようになると、その地盤には建築物を支えることなどできなくなってしまい、建築物は土の中に沈み込んだり倒壊したりしてしまいます。この現象は、1964年の新潟地震で、アパートの倒壊や新設の橋の崩落などの被害が続出したことにより注目されました。

最近では、1995年の阪神大震災での、ポートアイランド・六甲アイランドの被害、東日本大震災での千葉県浦安市の被害で地盤の上の建物を傾かせたり沈ませたりします。このように、液状化が発生すると地盤は一時的に非常に弱くなりますが、そのときには、水圧により水が砂とともに地表に噴き出す現象(噴砂)も起こり、液状化が収まった後には以前よりも水分の少ない固まった地盤となります。海岸の波打ち際や、雨が降ったあとのグラウンドで、足踏みをすると地面がどんどん柔らかくなっていくことがあります。これも一種の液状化現象と言えます。

③地滑り、河道閉塞
地震災害の場合、急な斜面が崩れるがけ崩れよりも、揺れにより地盤に緩みが生じ、広い範囲にわたってかたまりのまま斜面が下方にむかって崩れていく地滑りが発生した場合、被害はより甚大になります。家や田畑といっしょに大地が動くこともあり、谷川周辺の山肌が崩れた場合、土砂が川をせき止め天然のダム(河道閉塞)が形成される場合があります。ダムの上流側は湖のように水がたまり、家や田畑が水につかることもあります。ダムはやがて、たまった水の力で一気に崩れ、下流に土石流が押し寄せ、被害を拡大する場合があります。

④津波
津波の原因は、プレートとプレートの境界面における大規模な地殻変動によって起こる地震津波がほとんどです。沈降型地震や隆起型地震による水面の変化が波として沿岸部を襲います。津波の高さは沿岸部に近づくにつれて高くなります。さらに、津波の速度は水深4,000メートルで時速700~800㎞/hとジェット機並み、水深100メートルで時速200㎞/h程と新幹線並み、水深10メートルで時速40㎞/hと自動車並みの速さです。津波を見てからでは、人間の足では逃げても当然間に合いません。ですから、沿岸部にいる場合は地震の揺れを感じたら、それぞれが安全な高台に避難することがもっとも大切です。

⑤火災
地震災害の際、建物が倒壊したり、室内で家具が散乱してしまうことで、出火した場合の初期消火が困難になり、周囲にどんどん延焼していく危険があります。一般的に天井に火柱が到達した場合は、消火器などでの初期消火は難しいといわれています。さらに、断水や道路の閉塞などで消防隊による消火活動も思うようにいかないと考えられています。

また、電気が復旧したことをきっかけに出火する通電火災の危険が叫ばれています。これは、建物の倒壊や家具が散乱している状態で、熱源に電気が通り発火することで可燃物に引火し家事を引き起こす火災です。阪神大震災で157件の建物火災が発生しましたが、そのうち原因が特定できたのは55件で、35件が電気火災といわれています。なかでも35件中33件が通電火災だったと調査結果では言われています。

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