地震が起きると、ライフライン(電気・水道・ガス・電話・インターネット・交通手段など)が止まってしまったり、家の中は窓ガラスや食器が割れたり家具が倒(たお)れたりすることがあります。また、道路はひび割(わ)れたりブロック塀(べい)が倒れたりすることがあります。最悪の場合は、自分の家が倒壊(とうかい)したり、火事が起きたりすることがあります。
こういった場合にどのように対処したほうが良いのか見ていきましょう。
夜に停電してしまうと家の中も外も真っ暗になってしまいます。こんな時どうしたらいいと思う?
スマートフォンのライト機能があるから大丈夫(だいじょうぶ)だよ。
スマートフォンのライト機能があれば少しの間は灯(あか)りが取れるね。東日本大震災や熊本地震の際には、停電した地域は復旧までに約1週間かかったそうです。1週間電気が使えないとスマートフォンの充電(じゅうでん)が切れてしまうから、電池式の懐中(かいちゅう)電灯やスマートフォンの充電(じゅうでん)器、ロウソクなどもあるといいと思います。ちなみにツナ缶(シーチキン缶詰)で簡易(かんい)的な灯(あか)りが作れるので一度実験してみてね。
停電するとテレビやエアコン、冷蔵庫(れいぞうこ)などの電化製品が使えなくなってしまいます。
テレビの代わりにラジオを用意しておくといいって聞いたことがあるよ。
そうだね!地震が起きたときにはラジオを聞くことで様々情報が得られるから用意しておくことはとても重要です。インターネットが使用できる場合はスマートフォンでも情報を得ることができるわ。
エアコンや冷蔵庫が使えなくなったらどうしたらいいの?
夏場は汗をかいてしまうからウエットティッシュで体を拭(ふ)いたり、下着を交換(こうかん)したりして清潔な状態を保てるように準備しておくことが大切です。冬場は非常用アルミシートなどを非常持ち出し袋(ぶくろ)に入れておくことで電気がなくても体を温めることができます。
ちなみに、電気が普及(ふきゅう)する前の冷蔵庫(れいぞうこ)を知ってるかな?
知らなーい。
昔の冷蔵庫(れいぞうこ)は氷を使って冷やしていました。
その方法を応用して、停電時には冷凍庫(れいぞうこ)にある冷凍(れいとう)食品や氷などを冷蔵庫に移すことで食品が傷(いた)むのを多少遅(おく)らせることができるんだよ。
水道が使えないと飲み水を確保することが難(むずか)しくなります。またお米を炊(た)いたりするためのお水もありません。どうしたらいいと思う?
保存(ほぞん)用の水を保管しておく!
その通り!
ただし、保存(ほぞん)用の水は一般的なミネラルウォーターよりも値段が高いため、一般的なミネラルウォーターを備蓄(びちく)用として、賞味期限が近づいたらその水を使って、また新しく購入(こうにゅう)するということでもいいと思います。
普段(ふだん)からミネラルウォーターを使っている家庭なら、常に少し多めに購入(こうにゅう)しておいて、古いものから使っていくという方法もあります。これを「ローリングストック法」と言います。復旧までに給水車や支援(しえん)物資で水をもらうことができると思いますが一人1日2リットル×7日くらい備蓄(びちく)しておけるといいと思います。
災害が起こると食料の確保が最優先されます。備蓄(びちく)の必要性を感じている方も、実際に食料を備蓄(びちく)しておくことはなかなか難しいものです。そこで定期的に食べて、食べた物を食べた分だけ補充(ほじゅう)、備蓄(びちく)するローリングストック法が有効です。南海トラフ地震のような甚大(じんだい)な被害(ひがい)が想定される災害では一週間分の食料の備蓄(びちく)が望ましいと言われています。
普段(ふだん)からちょっと多めに食材を買い置きしておけば、最初の3日間は冷蔵庫の中のものを食べてしのげそうです。冷凍庫(れいぞうこ)に普段(ふだん)からご飯や食パン、野菜、冷凍(れいとう)食品等が入っている家庭も少なくないでしょう。 次の3日間は、いつもローリングストックしている食材でまかないます。この方法なら普段(ふだん)から食べているものが災害時の食卓(しょくたく)に並び、安心して食事を採ることができるはずです。
ウエットティッシュなどを常備しておくことで、体を清潔に保つことができるって先ほど紹介(しょうかい)しましたが、では、食事をしたときの食器はどうしたらいいと思う?
ウエットティッシュで拭く!
それも一つの方法だね!実は他にも方法があって、例えばビニール袋を食器にかぶせて使うことで食器自体を汚(よご)さない方法もあります。
都市ガス、プロパンガス(LPガス)に関わらず、災害時にはガスも使えなくなることがあります。ガスが使えないとどんなことができませんか?
ご飯が作れなくなっちゃう…。
そうだね、ご飯を作ることができないし、家によってはお風呂などを沸(わ)かす給湯器が使えなくなることもあるわね。ガスが使えなくなってしまったときに冬場に大活躍(かつやく)するあるものが大変役立ちます。さてなんでしょう?
ストーブ!
おっ!ストーブもいいですね。ただし、停電しているかもしれないので、乾電池(かんでんち)や着火ライターで使用する写真のようなものだといいですね。暖(だん)をとるだけでなくお湯を沸(わ)かしたりするためにも使えますね。
その他にもカセットコンロがあると調理もできますね。 あとはこんなご飯の炊(た)き方もあるよ!
タンスやテレビなどを固定していないと、地震が起きたときにタンスが倒れたり、テレビが飛ぶように転げ落ちたりすることがあります。阪神大震災では、亡くなった人のうち77%が窒息(ちっそく)や圧死が死因とされています。タンスなどの家具が転倒(てんとう)し、下敷(したじ)きになって身動きが取れず、火災に巻き込まれた方も多かったそうです。この写真を見てください。これは熊本地震のあとの家の中の様子です。
うわあ!こうなったら大変だよ…。
このように家具が転倒(てんとう)しないようにするために写真のような突っ張り棒(ぼう)などがあるのよ。
地震が起きると火事が起きる可能性があります。そのため、もし自分の家が大丈夫(だいじょうぶ)でも周囲の状況を確認する必要があります。
地震だけでも怖(こわ)いのに、火事も起きるかもしれないなんて…どうしたらいいの?
火事は、その規模(きぼ)によって(炎があまり大きくなっていないとき)は消火器などでの初期消火が可能です。学校の防災訓練で、消火器を使ったことはある?
そういえばやったことある!
阪神大震災のときには、実際に子どもから大人まで、多くの人が協力して、消火器や学校のプールに溜(た)まっている水をみんなでバケツリレーして、消火活動をしたことが記録に残っています。
そのためにも、普段(ふだん)から近所の人には挨拶(あいさつ)をしたり、消火栓(せん)や消火器がどこにあるか調べたりしておくことが大切です。このように近所の人や住民同士が助け合うことを「共助」や「近助」と言います。
阪神・淡路大震災では負傷(ふしょう)者数は約43,800名にも及(およ)びました。
家屋の倒壊(とうかい)などによる生き埋(う)めや閉じ込められ、救助された人のうち自衛隊やレスキュー隊などに救助された割合は2.5%しかありませんでした。残りの97.5%の人は自力や家族、友人や通行人といった自分の周囲やネットワークによって救助されています。このように自らを助けることを「自助」、地域で助け合うことを「共助」、警察(けいさつ)・消防・自衛隊などに助けてもらうことを「公助」と言います。
発災直後の「公助」による救出活動は期待できません。日頃(ひごろ)の備えを怠(おこた)らず「自助」が出来るようにし、地域で顔が見える関係作りや防災・減災活動を行うことで「共助」が出来る、そして、してもらえるように努めることが重要です。
災害時給水拠点というものが各地にあります。東京都の場合、住まいから半径2kmの距離内に一箇所、合計212箇所の災害時給水ステーションが災害時は開設されます。みなさんの自宅、学校から一番近い給水拠点はどこか確認しておくのもいいでしょう。
参考:覚えてください!お近くの災害時給水ステーション(給水拠点)
発災直後、水道水をくみ置きするときは、清潔でフタのできる容器に口元いっぱいまで入れて下さい。直射日光を避ければ3日程度は飲料用として使用することができます。ただ、浄水器をとおした水は塩素による消毒効果がないため、毎日くみ替えてください。
家具の固定に伴い注意しなければならない点として「長周期振動」があります。
建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)があります。地震波の周期と建物の固有周期が一致すると共振して、建物が大きく揺れます。高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、長周期の波と「共振」しやすく、 共振すると高層ビルは長時間にわたり大きく揺れます。つまり、震度が小さくても高層ビル高層階で大きな揺れになることがあります。
高層ビルの場合、大きな横揺れになるので家具、特にキャスターが付いているコピー複合機のようなものは揺れに伴い室内を激しく動き回り壁や他の家具を破壊することがあります。自宅の家具の固定のみならず、気を付けてみてみましょう。
通電火災とは、大規模な地震などに伴う停電が復旧し、通電が再開される際に発生する火災のことをいいます。阪神・淡路大震災では神戸市内で157件の建物火災が発生しましたが、原因が特定できた55件のうち35件が電気火災と最も多く、そのうち33件が通電火災でした。
自宅を離れる時、避難するときは必ずブレーカーを切るようにしてください。しかし、地震が発生するとコンセントを全部抜く余裕はないと思いますし、通路が塞がれてブレーカーを切ることができない可能性もあると思います。
そのような時に役に立つのがブレーカー自動遮断装置です。地震が発生すると備え付けたボールが落ちることでブレーカーを切ることができる装置です。これを設置することで、地震が発生すると自動でブレーカーを切ることができるので、通電火災を防ぐことができます。