実は地図を見るだけでも、災害についていろんなことがわかってくるんだよ。例えば次の写真は平成26年に広島県で起こった土砂(どしゃ)災害の様子だよ。
広島県広島市安佐南区の土砂災害の様子
参照:国土地理院 電子国土web
うわぁ〜!すべり台みたいに山から街に土がながれていってるね!でも、山が崩(くず)れてない部分の方が多いね。
よく気付いたね!実は山にはすべり台になりやすいところとすべり台になりにくいところがあるんだよ。次の地図を見てごらん。これは写真の場所の地図だよ。ピンクの線がすべり台みたいになっているところなんだ。
ピンクの線はなんかしま模様(もよう)の尖(とが)ったところを通っているね。
よく見ているね!しま模様(もよう)は「等高線(とうこうせん)」といって、地図の中で土地の高さをあらわす線なんだ。ピンクの線は「尾根(おね)」という名前の地形で、そこがすべり台になりやすいところなんだよ。
それじゃあ、等高線(とうこうせん)を見れば山のどこがすべり台になりやすいかがわかるね!
そうだよ。今度は次の写真と地図を見てごらん。写真は平成27年に茨城県で起こった水害の様子で、その下はその周辺の地図だよ。
茨城県常総市水海道の水害の様子
茨城県常総市水海道周辺の地図
地図の中には「みずうみみち?」っていう名前がいっぱいあるね。
これは「水海道(みつかいどう)」って読むんだよ。他にも「鬼怒川(きぬがわ)」っていう川が流れてるね。
鬼が怒る川ってなんか怖い名前だね…。
いかにもって感じだよね。実は昔の人はその地域の特徴を元に地名をつけたんだ。
へぇ〜。そうなんだぁ〜。
水の海の道で水海道、鬼が怒る川で鬼怒川。こうやって地名を見るだけでも災害が起こりやすい場所がわかるんだよ。
たくさんの方が犠牲(ぎせい)になった東日本大震災では、建物のある場所で、助かった人とそうでない人が分かれたことがたくさんありました。
宮城県石巻市にある石巻雄勝(おがつ)病院は、雄勝(おがつ)湾に面した海沿いに建てられていました。防災計画では津波(つなみ)の予測は高さ6メートル。入院患者(かんじゃ)の皆さんは最上階の3階の部屋(6.8メートル)に入院していました。津波(つなみ)が来たら3階に逃げれば大丈夫(だいじょうぶ)と考えていました。
しかし、予測をはるかに超えた高さの津波(つなみ)に襲(おそ)われ、10メートルの屋上までも飲み込まれ、入院患者(かんじゃ)40人全員。病院にいた医師、看護師(かんごし)、職員30人中24人が亡くなられました。
一方で、岩手県大槌町にある町立吉里吉里(きりきり)小学校は地区内の高台(海抜29メートル)に位置していました。ここにも予測をはるかに超えた高さの津波(つなみ)が襲(おそ)い、吉里吉里(きりきり)地区の街を飲み込み、小学校の正門直前30メートルまで津波(つなみ)が到達(とうたつ)しましたが、高台にあった小学校は津波(つなみ)の被害(ひがい)を受けず、児童・教職員は全員無事でした。
災害は、時に予測を超えた被害(ひがい)を引き起こします。病院や教育施設(しせつ)といったみんなの場所は、どこに作るかというのも大切な防災の取り組みと言えるでしょう。
地図を持ちながら実際に「まちあるき」をしてみるのもいいでしょう。地図の上だけで危険な箇所や避難所を確認するだけでなく、実際にまちを歩いてみることで、危険な箇所を実際に目で確認し、避難場所までの距離感をつかむことができます。「まちあるき」で災害に備えましょう。
①仲間を集める
一緒にまちあるきをする人を探します。家族や友達と一緒にやるといいでしょう。町内会などの自治体ではまちあるきを企画してる場合もありますので、そういったものに参加してみるのもひとつです。
②準備する
まずは自治体で地域の防災マップを手に入れます。そのあとは防災マップをもとに、歩くルートを決めます。歩くルートを決めるときは家の近くの危険なポイントや避難所を通るようにルートを選びましょう。
③実際にみんなで歩く
ルートを決めたら、実際にまちを歩いてみましょう。歩きながら危険なポイントを目で見てチェックし、また他に気づいたことがあればメモを取るようにしましょう。 ※雨でも小雨であれば実施することがオススメです。実際に避難する際は必ず晴れているとは限りません。また、雨のときは晴れの日とは違ったことに気付ける可能性もあります。
④まとめる
手に入れた防災マップにそれぞれがメモしたことを書き出していって、自分たちだけの防災マップを作ります。
中学校の授業として行われているまちあるきの様子