Q.地域の防災・減災の活動を始められるようになったきっかけを教えてください。
「せたがや防災NPOアクション」というネットワーク型の組織に参加するようになったのがきっかけです。この団体は、大規模な災害が起きた際に迅速で有効な支援ができるように日ごろからネットワークを作って、必要な情報を共有することを目的としています。
ところで、普段私たちが取り組んでいる住まいや建物の安全性を高めるということは、災害を減らす減災に直接つながることから、防災としては発災後の対応だけでなく発災前からの備えが何よりも重要と考えています。
平成30年6月に起きた大阪北部地震でもブロック塀が倒れてお子さんが亡くなりましたが、地域の防災計画の目標の中心は、いかに死亡者を減らすかで、死亡の原因となる建物の倒壊数の減少、家具転倒防止、火災の減少が重要となってきます。
また、発災時には家屋の危険度を調べる「応急危険度判定」のボランティアをする登録をしています。
Q.具体的にどのようなことをされているのですか?
世田谷区には「地域の絆連携活性化事業」という助成金制度があります。この制度を活用して、防災について楽しく、分かりやすく情報を発信するお手伝いや、小学生向けのワークショップ(ストローとクリップを使って建築物の模型を作る)、住宅の耐震性をチェックするなどしています。
耐震性のチェックについては、赤堤一丁目という地域を調べたのですが、問題のある建物が約100ありました。高齢の方や障害を持った方などが住んでいるケースが多いので、民生委員さんと一緒に訪問し、家具の固定や区の耐震補強に対する補助についてご紹介しています。
皆さん、耐震性については非常に関心が高いのですが、費用の負担などもあって工事には至らないのが現状です。
一方、マンションやアパートなどの集合住宅は、耐震補強をしようとしても、住んでいる人の意思確認や合意形成が得られずに、補強工事が難しいという問題があります。幹線道路に面している大きなマンションがもし倒壊すれば、移動や輸送にも支障をきたします。つまり、街そのものの安全とも大きくかかわってくるのです。
Q.私たちが準備しておかなければいけないことは何でしょう?
一言で言うと、「災害を正しく恐れよ」ということ。
災害に対して私たちはAll or Nothingになりやすいです。「準備万端」か「あきらめて何もしないか」の両極端ですね。その間の「少しでも」というのが大事です。
例えば、ご近所の人と日ごろから挨拶をすることですね。大きな災害が起きて皆が避難所に行けば避難所は満杯になります。ですから基本は在宅避難になるわけですが、その場合は救援物資が問題になります。物資を運ぶルートや配布場所・方法を決める必要がありますが、日ごろからの「顔の見える」関係がないと、それもなかなかスムーズに進まないでしょう。
そして、どのような状況で、何の災害が起きたらということを一つひとつ想定し、一人ひとりの生活パターンに応じた対策を具体的にイメージしながら日ごろから準備していくことが重要です。
作成日:
2018年7月07日
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カテゴリ:
インタビュー