防災士講習を受けてきた

■防災士とは?
防災士とは、認定特定非営利活動法人日本防災士機構が、防災に関する一定の知識や技能を習得した人を認証する民間資格です。2003年から防災士認証制度が開始され、2018年10月現在、全国で157,364名が防災士として認証されています。
防災士は、「自助」「共助」「協働」を原則として、社会の様々な場で防災の普及啓発、地域の防災力の向上を担う役割として期待されています。
詳しくは→ http://bousaisi.jp/

■防災士になるには?
日本防災士機構が定めたカリキュラムを、防災士教本による自宅学習と、会場研修の受講で履修し、筆記試験に合格すると認証されます。
なお、消防署や日本赤十字社等が行う救命講習を受講することもカリキュラムに含まれています。
各自治体などによる受講料補助制度もあるようです。

■どんな人が防災士を目指しているのか?
行政や企業の防災や危機管理担当者、地域の自治会の役員、消防団員の方が受講することが多いようです。私が受講した時は、郵便局に勤める方の受講が大変多く驚きました。
また、今年は災害が多かったこともあり、一市民としての受講も見受けられました。

平成30年7月豪雨災害で活動している様子(手前側が深山)

■防災士講習ではどんなことを学ぶのか?
防災士講習は大きく2段階に分かれて学習をします。
第1段階目は、自宅での事前学習です。事前学習では、防災士講座申し込み後に送付される「防災士教本」「履修レポート」を通して学びます。
内容は多岐にわたり、災害が発生する仕組みや、災害が発生するとどのような被害が起こり得るのか、災害が発生した際に被害をゼロにする(軽減させる)ための備えや、災害に対する対応などについて学びます。
また、地域の中でどのような取り組みが必要なのか、被災者支援制度や、法律についても学びます。
第2段階目として、研修会場に集まって受講する講座があります。これは、防災分野の第一線で活躍されている研究者等が講義やグループワークを行い、防災士教本に記載されている内容をより掘り下げて講義をしてくれます。

■防災士講習を受講した感想
私は元々、当協会内で実施している危機対応講習で講師をしていることと、本教材の制作にも携わっていたこともあり、災害や防災に関する知識は最低限ありました。
ところが、防災士講座で講師の方々の講義を聞いていると、知らなかったことや、新たな気づきがたくさんあり、大変有意義な時間となりました。

今回の受講を通し、初めて知ったことの一つに、「梅田は昔、埋田だった」ということがあります。大阪の中心地である梅田(大阪市北区梅田)は、大昔は海や湿地帯であり、田畑にするために埋めたそうです。そのため当初の地名は「埋田」だったそうですが、時が過ぎるのに伴い「梅田」となったそうです。
地名に水にまつわる漢字等が使われている土地は、地盤が弱いと言われているということは聞いたことがありましたが、まさか大阪の中心地がそうだとは知りませんでした。

今回の講師陣は、第一線で活躍されていることもありますが、なによりも「命を守りたい」「災害による死者を出さない」という決意と覚悟をとても感じ、講義中、思わず目頭が熱くなることもありました。

講義の中で個人的に印象に残っていることをいくつか紹介させていただきます。

“地震・津波・台風・大雨・噴火などは、本来ただの自然現象であるということを忘れてはいけない。そこに人が生活し、社会が形成されているから被害が出て、「災害」となる。”

“地震はなぜ恐いのか?それは家が倒壊するから。倒壊する家を作ったのは誰か?人だ。”

“初めて行く場所は、到着するまでの時間を長く感じる。それは経験したことがないから。ゴールがわからないから。災害も同じである。ほとんどの人が初めて被災する。経験したことがないから何が起こるのか、何をすればいいのか、いつ元の生活に戻れるのかわからない。だから長く感じ、苦しく、辛くなる。だから、災害について知ろう。被災した社会や家がどうなるのか学ぼう。”

防災士講座を受講することも、本教材で学ぶことも、あくまでも目的は「災害から命を守ること」です。
私自身、大切な人を守るために、また、自分の身や家族を守れる若者を増やしていくために、これからも学び続けようと思います。

2015年の常総水害時の活動の様子(左側が深山)