防災が苦手な子どもたちを減らすために

Q.子ども向けにどのようなプログラムをされているのですか?
メインの活動は、学童でやっている50分くらいのワークショップと、防災ピクニックなどのイベントの企画運営です。
ワークショップは、「じしんなんかにまけないぞ」という紙芝居を見てもらった後、「家の中で地震が起きた時にどうしたらいいのか」についてグループに分かれて話し合ってもらいます。小学校低学年の子も思いのほかちゃんと話してくれますね。中にはいつもは話さない子が積極的に話していて学童のスタッフの方が驚かれることもあります。

グループで話し合っている時に、家具を固定している部屋と固定していない部屋の模型を見せて、地震の時にどれくらい違うかというのを見てもらいます。これはとても興味を持ってくれます。

最後にブロック塀や瓦屋根の写真を見せて、危険かどうかの○×クイズをします。そして、子どもたちに

①非常持ち出し袋があるかどうか
②家で家具が固定されているかどうか
③家に帰る途中にどれぐらい危険なものがあるか

を確認するように促します。その中でも、②だけは必ずやってねと宿題に出します。そうすると、家に帰るなり、家の家具が危なくないか家の人に聞いて回ったという子もいました。

防災ピクニックは、非常用持ち出し袋を背負って一時避難場所の公園まで歩いてみようというものです。その途中に危ないところや安全な場所をチェックし、公園に着いたら非常食を食べます。最近はアルファ米と缶詰で海苔巻きを作ることが多いです。

また、私たちが作った「だんごむしダンス」(地震の時に身を守ることを学ぶ)をすることもあります。
1年前に息子さん3人と一緒に参加したお母さんは、息子が1年ほどたってもいつも「防災リュックはどこへ行った」と言うので、若干面倒くさいと言われていました。(笑)
結果、いつも息子たちが見える場所にリュックを置くようになったそうです。

Q.プログラムをされる時に気を付けておられることは何ですか?
楽しい想い出の中に防災という要素が残るように工夫しています。
そして、子どもに防災について伝え、親御さんと会話してもらうことで、結果的に親御さんにも防災に対する意識を持ってもらうということも狙っていますね。
この夏に、三鷹市内に住む子どもたちに、「みたか防災新聞」を作るコンテストをしました。応募してくれた中には、明らかに親御さんが手伝ったんだろうというものもありますが、逆にこちらとしては狙い通りだったりするのです。

Q.実際の災害の映像を見せたりはしないのですか?
映像は見せません。替わりに家具の模型を使っています。
というのも、東日本大震災の後、津波が街を襲う映像をテレビで何回も見たことで、私の娘が不安や恐怖で、何度も「私たちの住んでいるところは大丈夫なんだよね」と聞いてきたのです。
映像を見せることで「怖い」という感情が先に来てしまう子どもも多いですし、私自身も以前は防災が大切なことだと分かっていても、何から始めていいのかわからないので、結局考えないようにする言わば「防災アレルギー」でした。
だからこそ、真剣に取り組むことはもちろん、そんな中でも楽しみながら防災について考えて欲しいというのが私たちのポリシーなのです。

Q.今後の展望(野望?)を教えてください
私たちが三鷹市で取り組んできた活動を一つのパッケージにして、他の地域でも展開していきたいですね。大学生の皆さんもぜひ一緒にやりましょう!

ありがとうございました!

「やろうよ!こどもぼうさい」公式Facebookページ
https://www.facebook.com/kodomobousai/

共同監督の小川光一さん(右側)と

防災啓発ドキュメンター映画『いつか君の花明かりには』の公式ホームページ
http://itsuhana.ifdef.jp/
【今後の上映予定】
2018年11月18日 愛知県名古屋市港区
2018年11月22日 熊本県上益城郡益城町
2018年11月24日 東京都三鷹市

山崎 光さんプロフィール
1975年4月20日生まれ/防災団体やろうよ!こどもぼうさい代表/本業である建築の知識を活かし、 防災教材としての部屋模型製作や家庭防災のプロデュースも実施中/日本防災士機構認定防災士