Q.明城さん自身はどのような経緯で関わるようになったのですか?
もともとはアフリカや中東で紛争時の難民支援や被災者支援などの国際人道支援を行う団体で働いていました。
ご存知のように、1990年代はルワンダやユーゴスラビアなどで紛争が勃発し、世界的に多くの人道的危機がありました。私は大学を卒業した後、普通にサラリーマンをしていたのですが、職場の近くにアフリカの支援をしている団体があり、土日にそこにお手伝いに通っているうちに、そのまま働くことになったのです。
そして2011年に東日本大震災が起きるわけですが、そこで海外で人道支援を行っていたNGOも国内でも活動するようになりました。当時私はジャパン・プラットフォームという中間支援組織にいたのですが、そこで資金助成するにしてもプロジェクトの見極めができない、現地のニーズを集約しているところがない、海外から支援に行こうとしてもどこに行けばいいか分からない…等の課題がありました。
そこで、現地に誰か派遣しようということで私が発災後1週間くらいで現地に入り、そのまま4年間東北担当をしていました。
Q.災害現場では組織間の連携はどの程度進んでいるんですか?
東日本大震災の時は率直に言って連携は簡単ではありませんでした。もちろん「石巻モデル」とも言われた連携の事例などもありましたが、連携の場がつくられたのは限られた自治体のみでした。また、急ごしらえで作った連携の場では、情報交換はできますが、支援の調整や協働して事業を進めるのは難しい状況でした。
だからこそ、平時からの連携が必要ということでJVOADが2016年に設立されました。
ただ熊本地震、九州北部豪雨、そして昨年2018年の西日本豪雨と災害が立て続けに起こったこともあり、その対応に追われていましたが、JVOADとしては以下のような事業に今後さらに力を入れていきます。
また全国レベルで内閣府、支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)、全国社会福祉協議会、生協、JC(日本青年会議所)などと連携を強めていく予定です。
Q.子どもたちに防災・減災の大切さを教える際のポイントを教えてください
日本に住んでいる以上、災害は避けて通れないので、災害について考え、行動できる場を作ることが必要です。そのような機会を特に学校の中でどのように位置づけていくかがポイントでしょうね。
例えば、災害が起きると、どのような被害を受ける可能性があり、逆にどのような支援の制度があるのかなどです。罹災証明書や、被害認定を基にした生活再建に関する支援制度の仕組み、行政だけでなくボランティアやNPO等の多様な支援が行われることなどを学校で教えることも大事かと思います。
災害に遭った時は、いろいろな情報を聞くわけですが、その際の心理的な抵抗感が弱まるのではないでしょうか。
ありがとうございました!
明城徹也さんプロフィール
特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 事務局長
福井県出身。米国の大学を卒業後、建設会社勤務。その後、NGO業界に転身し、パキスタン地震被災者 支援や南スーダン帰還民支援等、数多くのプロジェクトに携わる。東日本大震災では、ジャパン・プラットフォームの職員として、発災直後より現地入りし、被災者支援・復興支援に従事。行政・社協・NPO 等の支援者同士の連携・調整に時間を費やした経験から、新たなネットワークの必要性を痛感。2013 年より「全国災害 ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」の設立準備会議に参加し、2015年の関東・東北豪雨水害 (茨城県常総市)や 2016年の熊本地震において、現地での支援のコーディネーションに努める。2016年11月にJVOAD がNPO法人として設立されたのを機に、事務局長に就任。「災害時の連携を考える全国フォーラム」の開催や、都道府県域における支援者のネットワーク構築などの事業を進めるとともに、平成30年7月豪雨災害や北海道胆振東部地震への対応も行っている。
作成日:
2019年1月31日
/
カテゴリ:
インタビュー